善興寺

新潟県 北吉田駅

『天正十五丁亥年(1587)顕如上人の弟子浄周によって開基された。浄周は元尾張の住人総田庄司忠宗を祖とするが、子細あって信州長沼を経て上越春日山へ移住し上杉公に属した。

　宿縁あって歓喜山浄興寺了性師に会い、真宗の教行証を聞信して抑止し難く、遂に禄を辞し顕如上人の直弟子となり、益々弘願他力の奥義を求め、一向専念の行者となった。

　当時、浄周の弟隼人が春日山城より鴻巣邑に来り、黒滝次郎与力中原と三条堀監物との戦に関わったが当地に仏法のなきを悲しみ、兄浄周をこの地に招き、浄周が顕如上人より下賜の御本尊一幅を安置し草庵を結んだ。時に天正十五年、間もなく改めて一宇を建立した。

　御本山が東西分離の際は教如上人に随従し大谷派に属した。二世浄専が上洛中教如上人の御遷化にあい、葬儀に参列、その分骨と宣如上人の直筆御名号を頂戴して帰山した。その後元和四年(1618)教如上人御影を安置し、同年境内地を邑の西南に移し現在に至っている。』