橿原神宮のお参りの記録(2回目)
奈良県橿原神宮前駅

橿原神宮に参拝しました。大阪の日本橋から近鉄線に乗ってやってきました。当初の目的は関西屈指の大きさを誇るイオンモール訪問でした。大和八木まで来たのが失敗。途中で近鉄南大阪線かJR桜井線に乗り換えるべきでした。夜には四日市競輪があったので、イオンモールはまた別の機会にと予定を変更して、急遽橿原神宮に参拝することに決めました。

近鉄橿原線橿原神宮前駅からは徒歩で15分ほど。駅前から延びる道を進むにつれ、次第に町の喧騒が遠ざかり、心が整っていくのを感じました。参道に足を踏み入れると、まず広大な敷地のゆとりに驚かされます。視界の先には大きな鳥居が堂々と構え、まるで異なる世界への入口を示すかのようです。その鳥居をくぐると、真っすぐに伸びる参道が清々しく続き、両脇には豊かな緑が広がっていました。自然と呼吸が深くなるのを覚えます。

参道を歩くうちに、静寂に包まれた空気が身体の芯にまで浸透していくようでした。平日のためか参拝客はまばらでした。まるで自分だけのために用意された空間を歩いているような、不思議な独占感に浸ります。長い距離をゆっくり進むほどに心は次第に落ち着き、雑念がすっと消えていく感覚がありました。

やがて本殿の前に辿り着き参拝。御守と御朱印も拝受しましたが、目の前に広がる社殿の規模とその端正な佇まいには、思わず息をのむばかりでした。大和の地に根ざした悠久の歴史を背に、神武天皇を祀る聖域に立っているという事実が、自然と背筋を正させます。

神武天皇は『日本書紀』や『古事記』に記される日本最初の天皇であり、東征の末にこの橿原の地で即位したと伝えられています。その御代を起点として、後世に連綿と続く皇統の歴史が始まったとされることから、「建国の祖」として特別な意味を持ちます。単なる神話上の人物としてではなく、日本人の精神的な出発点を体現する存在ともいえるでしょう。

社殿の前に立っていると、二千年以上前の建国の物語に自らも連なっているかのような感覚が生まれます。橿原の地に流れる静謐な空気は、神話と歴史とが溶け合う不思議な時間を与えてくれました。建物の力強さと周囲の自然の静けさが相まって、心に深く刻まれる参拝体験となりました。