覚園寺のお参りの記録(1回目)
神奈川県鎌倉駅

二階堂の谷戸の奥深く、鎌倉宮から坂道を登って十分ほどで辿り着く覚園寺は、鎌倉の中でもひときわ静謐な空気に包まれた名刹です。山門をくぐると、目前に広がる紅葉が真っ赤に色づき、谷戸の地形と相まってまるで別世界に足を踏み入れたような景観が広がっていました。
参拝は寺の方の案内に従い、決められた順路で五つのお堂を巡る形式。各所でお坊さんが丁寧に解説してくださり、歴史や仏さまの由来を深く知ることができます。中でも圧巻なのは、藁ぶき屋根の本堂に鎮座する薬師如来。薄暗いお堂の中、静かに光を帯びる尊像は、鎌倉仏の厳かさと温かさを兼ね備えており、自然と手を合わせたくなる雰囲気でした。
境内は谷戸の地形をそのまま生かした配置で、木々のざわめきや鳥の声が響く、鎌倉らしい落ち着いた時間が流れています。観光地の賑わいから離れ、信仰の場の空気を深く味わえる貴重なお寺でした。