十二神社のお参りの記録(1回目)
神奈川県百合ケ丘駅

十二神社は、正徳元年（1711年）に万福寺地域の氏神として創建され、嘉永四年（1851年）に再建された。祭神は宇気母智大神（うけもちおおかみ）で、食物や五穀を司る神として信仰されている。

● 十二神社の由来
神社名の「十二」は、天神七代・地神五代の十二柱の神々を意味する。また、熊野三山の祭神を勧請した熊野十二所神社の別称とも考えられている。

● 武将と戦勝祈願
古くから武将たちに信仰され、「境内の砂を身につけて出陣すれば無傷で凱旋できる」と伝えられた。第二次世界大戦時にも、地域の兵士たちが無事を祈願し、砂を持って出征した。

● 都市開発と再建
新百合ヶ丘駅周辺の都市開発により地形が大きく変わり、平成18年（2006年）に新たな本殿が建てられた。境内には、歴史を伝える石碑が複数建てられている。

● 交通と地域の発展
神社近くを通る津久井道は、江戸時代に津久井の絹や炭を運ぶ重要な街道だった。幕末以降は横浜への流通に移行し一時衰退したが、新百合ヶ丘駅の発展とともに再び人の往来が増えた。

● 神社の祭礼
例祭は毎年9月12日に行われる。かつては10月に開催され、一族が集まり盛大に祝われた。平成に入り、祭礼は地域の子供たちも参加しやすいよう9月の土日に変更された。

● 建築様式と記録
本殿は流造、拝殿は入母屋造。歴代の修復記録が残り、明治六年に村社に指定、大正十一年に供進神社となった。昭和・平成期にも社殿改修や鳥居の再建が行われ、現在に至る。

● 剣道と武徳の伝統
大正期には、中島武兵衛が境内で寒稽古を行い、剣道の指南を務めた。門人は農業従事者が中心で、日没後に稽古が行われた。奉額には「武徳」と刻まれ、当時の熱心な稽古の様子が伝えられる。