大庭稲荷神社のお参りの記録(1回目)
神奈川県新松田駅

神奈川県足柄上郡開成町吉田島に鎮座する大庭稲荷神社。
最寄りはJR御殿場線松田駅で、徒歩およそ十五分ほどの道のりです。駅前の賑わいを離れ、住宅街の中を進んでいくと、やがて視界に鮮やかな朱色が飛び込んできます。そこが大庭稲荷神社です。

稲荷神社らしく、まず目に入るのはやはりその朱の強さ。鳥居、祠、そして屋根に至るまで、統一された赤みを帯びた色彩が、周囲の落ち着いた街並みの中でひときわ映えています。まるで祠そのものが生命力を帯びて息づいているかのようで、小規模ながらも凛とした存在感を放っています。

祠はコンクリートの土台の上にしっかりと据えられ、ボウリング球くらいの大きさの石で装飾性を生み出しています。さらにその周囲をコンクリートブロックが囲むように支えています。その様子は、まさに「念には念を押す」という言葉がぴったり。風雨や地震にもびくともしないよう、地域の方々が大切に守り続けてきたことが伝わってきます。

社の前には、可愛らしいお狐さまの像が控えめに並び、訪れる人を静かに見守っています。派手さはありませんが、どこか温もりを感じさせる素朴な佇まい。その背後に広がる青空との対比が、より一層朱の鮮やかさを引き立てていました。

長い歴史を静かに積み重ねながら、今も地域に寄り添い続ける小さな社。
それが大庭稲荷神社の魅力であり、開成町の穏やかな空気の中で、確かな存在感を放つお稲荷さまです。