信行寺の日常(48回目)|福岡県宇美駅
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投稿日:2020年05月23日(土)
【仏教コラム】
利他によって、人生や社会が豊かになる
前回までに、「利他(他者のため)が重要な考え方になる」というお話をしました。
利己(自分の利益だけを考え、他者のことを顧みないこと)では、社会がもたない、地球がもたないだけでなく、仕事も自分の生活も成り立たない。そのことを、新型コロナウイルスを通して、自分ごととして実感された方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、互いが支え合う社会、地域、職場、家庭などにしていこうとする営みが大切であり、利他(他者のため)ということが重要な考え方になります。
私が思う「利他の考えをもとに、今何をすべきか?」は大きく二つあり、一つは「課題解決のアクション」、もう一つは「利他の輪をつくること」です。
今回は、「利他の輪による共働」についてや、「利他によって、人生や社会が豊かになる」というテーマでお話をさせていただきます。
▼動画・音声でご覧になりたい方はこちら
https://youtu.be/-vDIkUkMmd0
目次
利他の輪によってうまれるもの
課題解決を目的とした共働
自利利他の話の根本的な目的
意味や方向性が見出されていく
まとめ
▷利他の輪によってうまれるもの
利他の輪とは、「利己(自分(たち)が良ければよい)」ではなく、「自利利他(自らのためが他者のためとなり、他者のためが自らのためになる)」ということを意識的にも、行動的にも大切にするつながりといえます。
つまり、利他の輪とは、自利利他を大切する人のつながり、グループ、コミュニティのことです。
「利己」ではないことを強調するために利他の輪としていますが、本来的には自利利他の輪です。
なぜ、利他の輪をつくると良いのかは、自利利他を大切にする人のつながりによって、共働が生まれ、自分(たち)だけでは解決できない課題が解決される可能性がでてきたり、支え合いがうまれてくると考えるからです。
▷課題解決を目的とした共働
自分(たち)だけで課題解決が難しいことは多々あります。
その時に、共働することで、解決につながる可能性が高まるので、課題解決を目的とした、共働する利他の輪をつくることは有用性があると思います。
課題解決を目的としたグループは、例えば、政府の対策本部などもそれにあたるでしょうし、地域包括ケアシステムもそうしたものでしょう。地域でのローカルなグループも様々にあることでしょう。
このように、課題解決を目的としたグループや、取り組みは既に色々あるかと思います。共働は、今に始まったことではないし、何を今さらと思われる方もおられることでしょう。
ただ、この利他の輪の話は、似たような取り組みは既にあるとか、既存のグループとどう違うかというところがポイントなのではなく、利他の輪を新たにつくっていったり、既存のグループでさえ、利他の輪に変わっていくことで、より良くなっていくということが、この話のポイントになります。
数回にわたるこの「自利利他」の話の底流には、仏教という人類が2500年かけて紡いできた、生き方、考え方の智慧、人類の智慧を活用して、さらにより良い人生、より良い社会にすることができないかという大きなテーマがあります。
▷自利利他の話の根本的な目的
ここで、そもそもこの自利利他の話の根本的な目的とは何かについて、きちんと言語化しておこうと思います。つまり、自利利他や課題解決のアクション、利他の輪の重要性について語ってきましたが、それは何のためにおこなうのかという根本的な目的についての問いです。
結論をいうと、それは自他の抜苦与楽(じたのばっくよらく)です。
自他の抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)とは、自らと他者の、様々な痛みや苦しみが緩和され、自他ともにより良く生きていくことです。自他の抜苦与楽が、この自利利他の話の根本的な目的です。
人生や社会を豊かにするということも、また、幸せに生きるとか、ウェルビーイングといった概念も、この自他の抜苦与楽に包括され、違う言葉として言い換えたものです。
自他の抜苦与楽を根本的な目的として、それを実現していくために、自利利他の考え方や行動が重要なものとなる。そして、自利利他の具体的な行動として、「課題解決のアクション」と、「利他の輪をつくる」という行動が重要ではないか。
全体感としては、このような構造と階層があります。
この自利利他の話の根本的な目的は、自他の抜苦与楽です。
それぞれの人生や家庭や、仕事、人間関係、地域、社会などにおける、精神的・肉体的・社会的な痛みや苦しみが緩和される、そしてより良くなっていく、良い方に変わっていく、人生や社会が豊かに感じられていくというものです。
▷意味や方向性が見出されていく
共働の話に戻ると、課題解決を目的にした、共働する既存のグループや取り組みが、利他の輪になっていくのはどういうことかというと、そのグループや取り組みに、意味や方向性が見出されていくことだと思います。
利他の輪になっていくことで、それぞれの専門性や特徴を活かして共働しつつ、そもそも、これは何のためにおこなっているのか?という意味や根本的な目的について考えるきっかけができます。
そして、自他の抜苦与楽(自らと他者の、様々な痛みや苦しみが緩和され、自他ともにより良く生きていく)という方向性が明確になります。
さらに、自分(たち)のためにおこなっていることが、他者のためになる、そしてそれが、自分(たち)のためになるという、自利利他の好循環が、人生や社会を豊かにするということが、本質的に理解され、実感されてきます。
これは大きなことで、人生は自他の抜苦与楽に生きることで、豊かになるということに気付くことができるということです。そしてこれは、生き方や仕事に対して、利益やお金以外の目的やKPI(行動の評価指標)を与えるものです。
▼全文(ノーカット版)はこちら
https://online-temple.net/?p=397
#仏教 #利他 #より良い社会 #ウェルビーイング
利他によって、人生や社会が豊かになる
前回までに、「利他(他者のため)が重要な考え方になる」というお話をしました。
利己(自分の利益だけを考え、他者のことを顧みないこと)では、社会がもたない、地球がもたないだけでなく、仕事も自分の生活も成り立たない。そのことを、新型コロナウイルスを通して、自分ごととして実感された方も多いのではないでしょうか。
だからこそ、互いが支え合う社会、地域、職場、家庭などにしていこうとする営みが大切であり、利他(他者のため)ということが重要な考え方になります。
私が思う「利他の考えをもとに、今何をすべきか?」は大きく二つあり、一つは「課題解決のアクション」、もう一つは「利他の輪をつくること」です。
今回は、「利他の輪による共働」についてや、「利他によって、人生や社会が豊かになる」というテーマでお話をさせていただきます。
▼動画・音声でご覧になりたい方はこちら
https://youtu.be/-vDIkUkMmd0
目次
利他の輪によってうまれるもの
課題解決を目的とした共働
自利利他の話の根本的な目的
意味や方向性が見出されていく
まとめ
▷利他の輪によってうまれるもの
利他の輪とは、「利己(自分(たち)が良ければよい)」ではなく、「自利利他(自らのためが他者のためとなり、他者のためが自らのためになる)」ということを意識的にも、行動的にも大切にするつながりといえます。
つまり、利他の輪とは、自利利他を大切する人のつながり、グループ、コミュニティのことです。
「利己」ではないことを強調するために利他の輪としていますが、本来的には自利利他の輪です。
なぜ、利他の輪をつくると良いのかは、自利利他を大切にする人のつながりによって、共働が生まれ、自分(たち)だけでは解決できない課題が解決される可能性がでてきたり、支え合いがうまれてくると考えるからです。
▷課題解決を目的とした共働
自分(たち)だけで課題解決が難しいことは多々あります。
その時に、共働することで、解決につながる可能性が高まるので、課題解決を目的とした、共働する利他の輪をつくることは有用性があると思います。
課題解決を目的としたグループは、例えば、政府の対策本部などもそれにあたるでしょうし、地域包括ケアシステムもそうしたものでしょう。地域でのローカルなグループも様々にあることでしょう。
このように、課題解決を目的としたグループや、取り組みは既に色々あるかと思います。共働は、今に始まったことではないし、何を今さらと思われる方もおられることでしょう。
ただ、この利他の輪の話は、似たような取り組みは既にあるとか、既存のグループとどう違うかというところがポイントなのではなく、利他の輪を新たにつくっていったり、既存のグループでさえ、利他の輪に変わっていくことで、より良くなっていくということが、この話のポイントになります。
数回にわたるこの「自利利他」の話の底流には、仏教という人類が2500年かけて紡いできた、生き方、考え方の智慧、人類の智慧を活用して、さらにより良い人生、より良い社会にすることができないかという大きなテーマがあります。
▷自利利他の話の根本的な目的
ここで、そもそもこの自利利他の話の根本的な目的とは何かについて、きちんと言語化しておこうと思います。つまり、自利利他や課題解決のアクション、利他の輪の重要性について語ってきましたが、それは何のためにおこなうのかという根本的な目的についての問いです。
結論をいうと、それは自他の抜苦与楽(じたのばっくよらく)です。
自他の抜苦与楽(苦を抜き、楽を与える)とは、自らと他者の、様々な痛みや苦しみが緩和され、自他ともにより良く生きていくことです。自他の抜苦与楽が、この自利利他の話の根本的な目的です。
人生や社会を豊かにするということも、また、幸せに生きるとか、ウェルビーイングといった概念も、この自他の抜苦与楽に包括され、違う言葉として言い換えたものです。
自他の抜苦与楽を根本的な目的として、それを実現していくために、自利利他の考え方や行動が重要なものとなる。そして、自利利他の具体的な行動として、「課題解決のアクション」と、「利他の輪をつくる」という行動が重要ではないか。
全体感としては、このような構造と階層があります。
この自利利他の話の根本的な目的は、自他の抜苦与楽です。
それぞれの人生や家庭や、仕事、人間関係、地域、社会などにおける、精神的・肉体的・社会的な痛みや苦しみが緩和される、そしてより良くなっていく、良い方に変わっていく、人生や社会が豊かに感じられていくというものです。
▷意味や方向性が見出されていく
共働の話に戻ると、課題解決を目的にした、共働する既存のグループや取り組みが、利他の輪になっていくのはどういうことかというと、そのグループや取り組みに、意味や方向性が見出されていくことだと思います。
利他の輪になっていくことで、それぞれの専門性や特徴を活かして共働しつつ、そもそも、これは何のためにおこなっているのか?という意味や根本的な目的について考えるきっかけができます。
そして、自他の抜苦与楽(自らと他者の、様々な痛みや苦しみが緩和され、自他ともにより良く生きていく)という方向性が明確になります。
さらに、自分(たち)のためにおこなっていることが、他者のためになる、そしてそれが、自分(たち)のためになるという、自利利他の好循環が、人生や社会を豊かにするということが、本質的に理解され、実感されてきます。
これは大きなことで、人生は自他の抜苦与楽に生きることで、豊かになるということに気付くことができるということです。そしてこれは、生き方や仕事に対して、利益やお金以外の目的やKPI(行動の評価指標)を与えるものです。
▼全文(ノーカット版)はこちら
https://online-temple.net/?p=397
#仏教 #利他 #より良い社会 #ウェルビーイング
すてき
投稿者のプロフィール
神崎修生244投稿
浄土真宗本願寺派の僧侶。福岡県宇美町 信行寺。「仏教やお寺を身近に。人生を心豊かに」をテーマに、動画やブログを発信中。お寺のオンライン朝会も開催。寺院関係者の学びの場「Bラーニング」も主催。
ホトカミ見ました! で広がるご縁
ホトカミを見てお参りされた際は、もし話す機会があれば住職さんに、「ホトカミ見てお参りしました!」とお伝えください。
住職さんも、ホトカミを通じてお参りされる方がいるんだなぁと、情報を発信しようという気持ちになりますし、
「ホトカミ見ました!」きっかけで豊かな会話が生まれたら、ホトカミ運営の私たちも嬉しいです。