大六天社のお参りの記録(1回目)
東京都下落合駅

東京都新宿区下落合に鎮座する大六天社。最寄り駅は西武新宿線下落合駅で、駅から徒歩約10分ほどの距離にあります。地名の「下落合」から谷底にある印象を抱きがちですが、実際には谷の上部、つまり標高のやや高い位置に鎮座しており、駅や周囲の住宅街から見上げる形になります。静かな住宅街の一角にひっそりと佇む神社で、通りすがりでは気づかずに通り過ぎてしまうほど、周囲の生活環境に自然に溶け込んでいます。

境内には人感センサーが設置されており、夜間や薄暗い時間帯には自動的に社殿の灯りがともります。しかし、この明かりはあくまで短時間のもので、境内の全体の様子を観察するには、昼間の自然光の下で参拝するほうが、社殿や石灯籠、周囲の樹木など、細部の魅力や小さな発見をより多く味わえるように思われます。静寂の中で、木々の葉や風の音に耳を澄ませながら歩くと、神社が長年この地に息づいてきた歴史の重みを静かに感じ取ることができます。

社殿脇で見つけた由緒書によると、御祭神は面足尊と猿田彦尊の二柱。創建は明らかではありませんが、伝承によれば、かつて疫病が発生した折、この地に疫病除けと守護を祈願するために祀られたといいます。疫病から人々を守る神として、地域の人々に親しまれ、長く信仰の対象となってきたことがうかがえます。また、猿田彦尊を祭神に迎えていることから、道や交通の守護も意識された神社であると考えられます。

周囲は住宅街であるものの、歴史と信仰の重みを感じさせる大六天社は、下落合の住宅街にひっそりと息づく、地域の守り神の象徴と言えるでしょう。