みはらだいいなりじんじゃ
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楽しみ方三原台稲荷神社のお参りの記録一覧

平日の午後、練馬区三原台に鎮座する三原台稲荷神社を訪れました。この日は台風が関東地方をかすめる影響で、空はどんよりとした灰色に覆われていました。時折、強い風が吹き抜け、そのたびに境内の木々が大きく揺れ、枝葉がざわめきます。稲荷神社ならではの朱色に白文字の幟(のぼり)も、風を受けて激しくはためき、その布ずれの音がまるで太鼓のリズムのように耳に残りました。人の気配がほとんどない午後の境内で、自然と人工の音が織りなすその響きは、どこか幻想的でもありました。
社殿の左手には境内社の御嶽神社が祀られています。これは、練馬区の神社ではよく見られる組み合わせです。たとえば大泉や石神井の稲荷社でも、境内社として御嶽神社が鎮座している例が多く、いわば「練馬区の神社あるある」と言ってもよいでしょう。御嶽信仰は山岳信仰の一形態であり、関東地方では江戸時代以降、講を通じて広く庶民に親しまれてきました。その流れが、現代のこの小さな境内にも確かに息づいているのです。
さらに境内の右手には、「一山元講」「氷川神社」「大元尊神」など、さまざまな神仏の名が刻まれた石碑が整然と並んでいます。いずれも、かつて地域の人々が信仰の対象として大切に祀ってきた証でしょう。宗教的には多様でありながら、すべてがこの地の稲荷信仰の懐に包み込まれているような印象を受けます。長い年月の中で人々が積み重ねてきた信仰の層の厚みを感じながら、静かに一礼して境内を後にしました。
台風の影響による風の影響か?香ばしい良い匂いが。近くにお菓子メーカーがあるので、その匂いでしょうか?
追記
本投稿写真の説明文の一部分を作成するにあたり、
練馬区教育委員会社会教育課 文化財保護係 練馬区郷土資料室著、『練馬の石像物 ー神社総集編』、練馬区教育委員会発行、1990年刊。を参考にした。


一山講の周年祭記念碑


霊神碑



霊神碑






社務所。お正月か御祭礼のときに忙しくなりそうです。

太鼓庫屋

1990年製でした。安全弁がなくなったいます。

稲荷神社ということで、お猫さまがご挨拶に。狐は犬科ですが、同じ4本足ということで御代参?

三原台稲荷神社は、東京都練馬区三原台にひっそりと鎮座する神社です。最寄り駅は西武池袋線の石神井公園駅で、そこから徒歩15分ほど。幹線道路に設置された看板を頼りに進むと、やがて赤い鳥居が見えてきます。その道中は両側を住宅に囲まれており、住宅街の中を抜けて延びる参道という、やや異質な光景が広がります。
住宅地を抜けた先、車通りの少ない静かな一角に、赤い鳥居と社殿が姿を現します。
一見すると、ごく普通の住宅街の中にある町の小さな神社、という印象を受けるかもしれません。しかし、周囲の風景と神社の佇まいをじっくりと見比べてみると、どこか「場違い」ともいえるような、不思議な存在感が漂っています。
というのも、この地域が現在のように住宅地として整備される以前、神社のまわりには人家はほとんど存在していませんでした。戦後まもない頃の航空写真を確認すると、神社の周囲に広がっていたのは、畑や草地のような開けた空間ばかり。当時からこの場所に変わらず鎮座し、地域の変遷を静かに見守ってきたことがうかがえます。
境内はこぢんまりとしていながらも、そこに立てば凛とした空気が漂い、稲荷神社ならではの清冽な雰囲気を感じさせます。赤く染め抜かれた「正一位稲荷大明神」の幟がはためき、社殿前には狛狐が控えています。
特筆すべきは、稲荷信仰の装いに加えて、境内に点在する複数の石碑の存在です。御嶽山や富士山を信仰の対象とした講中の名が刻まれたものが見られ、かつてこの地域でも御嶽講や富士講といった民間信仰の集まりが活発であったことが伝わってきます。
そうした講中の人々がこの神社に集い、祭礼を執り行い、寄り合いの場として活用していたであろう往時の光景を思い浮かべると、現在の静けさとの対比が際立ち、神社が持つ歴史の厚みがいっそう感じられます。
「三原台」という、いかにも住宅地開発に際して名付けられたような地名。いつの頃からこの神社が「三原台稲荷神社」と呼ばれるようになったのか、その経緯を解き明かしたいという衝動に駆られます。
変わりゆく都市の中で、忘れ去られつつある地域の記憶や信仰の痕跡を、静かに、しかし確かに今に伝えている三原台稲荷神社。そこは、地域の過去と現在、そして信仰の名残が交錯する、貴重な場所と言えるでしょう。

拝殿

鳥居まで



御嶽講

富士山浅間神社

正一位稲荷大明神

幹線道路の案内板
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