北野神社のお参りの記録(1回目)
東京都大泉学園駅

東京都練馬区東大泉に鎮座する北野神社。西武池袋線・大泉学園駅より徒歩5分ほどの距離にあり、住宅街の中に静かに佇む古社です。駅からのアクセスが良いこともあり、境内にしばらく立っていると、およそ5分に1人くらいの割合で人の往来があります。その多くは近隣の住宅地を抜けるためのショートカット利用ですが、それでもほとんどの人々は、足を止めて拝殿に向かい、軽く一礼してから通り過ぎていきます。その光景からは、地域の人々にこの神社が今なお生活の一部として息づいていることが感じ取れます。

参道は、一の鳥居、二の鳥居、三の鳥居と続き、三の鳥居をくぐってようやく拝殿のあるエリアにたどり着きます。途中、左右には樹齢を重ねた木々が高く伸び、夏場には葉が生い茂って涼しげな木陰をつくり、境内全体に落ち着いた雰囲気をもたらしています。途中、右手には境内社の瑞穂稲荷神社。コンクリートブロック造りの、いかにも堅牢そうな拝殿を構え、社殿内には大小さまざまなお狐さまがずらりと並び、信仰の厚さを物語っています。

三の鳥居を抜けると、回廊のような通路が拝殿の周囲を取り巻く独特の構造になっており、社殿は伝統的な八幡造の意匠を残しています。拝殿の左手にはもう一社、小さな境内社が祀られていますが、由緒などは不明。北野神社を挟んだ反対側には絵馬が多数奉納されており、願いごとの書かれた板が風に揺れていました。よく見ると、いくつかの絵馬はすでに色あせ、木肌が乾いて割れ始めているものもあり、年月の経過を感じさせます。お焚き上げの時期が決まっているのか、あるいは地域の行事としてまとめて処分されるのか――そんなことを思いながら、静かに見入ってしまいました。

境内の由緒書によれば、創建は江戸時代と伝わります。もともとは法華経を守護する神々を祀っていたとされますが、明治期の神仏分離の影響を受け、学問の神として知られる菅原道真公が御祭神に改められたとのこと。古き信仰が新しい形に転じながらも、地域の人々の心の拠り所として脈々と受け継がれてきた――そんな静かな歴史の流れを、境内の空気そのものが語っているようでした。