東葛西八雲神社（水神社）のお参りの記録(1回目)
東京都葛西駅

東京都江戸川区東葛西に鎮座する東葛西八雲神社。最寄り駅は東京メトロ東西線の葛西駅で、そこから住宅街を抜けて徒歩10分ほどで境内に至ります。周囲は学校や住宅が立ち並ぶ一帯で、日常生活の中に自然に溶け込むような立地です。境内には由緒を伝える案内板や石碑は見当たらず、御祭神についても明確な記録は残されていないようです。創建の年代も詳らかではありませんが、鳥居に刻まれた「大正拾弍年六月建」という銘から判断すると、少なくとも大正時代にはすでに祀られていたことがわかります。地域に根付いた小社ながらも、百年近い歴史を背負っていると考えると感慨深いものがあります。

境内は地域住民にとってちょっとした近道となっているらしく、参拝目的ではなく通り抜ける姿が時折見受けられます。その中で、足を止めて社殿前で軽く頭を下げていった人の姿が一人。お賽銭を投じる人はわずかでしたが、その一挙手一投足からは確かな信仰心が感じ取れました。静けさの中に人々の暮らしが交錯する、生活に寄り添った神社といえるでしょう。

社殿は神明造と思われ、すっきりとした直線的な意匠が印象的です。建物自体は長い年月を経ているはずですが、古びて荒れた様子はまったくなく、むしろきちんと手入れが行き届いていることが伝わってきます。境内には石灯籠や狛犬が据えられており、それらはさすがに時代を感じさせる風貌で、社殿の清新さとの対比が印象的でした。近代以降の町の変化を静かに見守り続けてきた証人のようでもあります。

ふと境内に立ち尽くすと、もう明日から10月。まだ夏のような気候です。9月末にも関わらずまだまだ夏の延長線のようです。