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こじろういなりじんじゃ

古地老稲荷神社のお参りの記録(1回目)
東京都白金台駅

投稿日:2025年09月26日(金) 19時37分54秒
参拝:2018年11月吉日
東京都港区白金台に鎮座する古地老稲荷神社。最寄りは東京メトロ南北線の白金台駅で、駅から歩いて5分ほどの距離にあります。周囲は高級住宅街として知られ、洗練された街並みの中にありながら、この神社は地域の暮らしに根差した祈りの場として静かに佇んでいます。特徴的なのは、歴史ある日本庭園として名高い八芳園のすぐ隣に位置していることです。都会の真ん中で自然と文化の豊かさを同時に味わえる一角に鎮座しているという点で、立地自体がすでに印象的です。

御祭神は宇迦魂之命。稲荷信仰において広く知られる食物・穀物の神であり、生活の根幹に関わる豊穣や商売繁盛を司る存在です。境内に掲げられている由緒書によれば、創建は文政13年(1830年)とされています。当初は日吉坂に祀られていたとのことで、当時この地に火伏の稲荷信仰が広まったことが創建の背景にあると記されています。江戸後期、火事は都市にとって最大の脅威の一つであり、人々の生活を守るための「火伏せ」の祈願は切実なものでした。古地老稲荷神社は、そうした時代の人々の願いを受け止める存在として誕生し、今なおその名残を留めています。

境内に足を踏み入れると、まず感じるのはその整然とした佇まいです。社殿や境内地はよく手入れされ、落ち葉や埃ひとつ見当たりません。清浄さを保つ努力が日々重ねられていることが伝わってきます。奉納者名の石柱を見ると「八芳園」の名が上位に掲げられており、地理的な近さを考えると、ひょっとすると八芳園の関係者が日常的に清掃や整備に協力しているのかもしれません。地域と神社の結びつきを実感できる一幕です。

境内をよく観察すると、新しいものと古いものが共存しているのがわかります。玉垣や鳥居は比較的最近建て替えられたようで、まだ白さが残り、清々しい印象を与えます。一方で、手水鉢や石灯籠は長年の風雨に耐えてきた様子を示しており、苔むした表面や擦り減った彫刻に時の重みを感じさせます。新旧が調和する境内は、時代の流れを受け入れながらも、信仰の芯が変わらず続いていることを象徴しているようです。

白金台という都会の洗練されたエリアの中にあっても、古地老稲荷神社は人々に親しまれ、祈りの対象として生き続けています。華やかな八芳園のすぐ隣で、日々静かに地域を見守るこの小さな神社は、都市に暮らす人々の営みを支える存在であり続けているのだと感じました。
古地老稲荷神社(東京都)

すてき

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