打越天神北野神社のお参りの記録(1回目)
東京都中野駅

東京都中野区中野に鎮座する打越天神北野神社。最寄りのJR中野駅から歩いておよそ8分ほど、駅前の賑わいを抜け、住宅街の中に進んでいくと静かにその姿を現します。周囲には集合住宅が密集しており、いかにも中野らしい生活感に満ちた環境ですが、境内へ一歩足を踏み入れると、街のざわめきが和らぎ、神域特有の落ち着きが漂います。神社の周囲を取り囲むように中野区立天神公園が整備されており、日常の憩いの場と一体となった、親しみやすい雰囲気を醸し出しているのも印象的です。

境内には天神伏見稲荷が鎮座し、稲荷の赤い鳥居が整然と並ぶ景観は、北野神社の御本殿と対をなして参拝者を迎えてくれます。御祭神は、学問の神として広く知られる菅原道真公、そして五穀豊穣を司る宇迦之御魂大神と推測されます。学業成就を願う学生や、日々の生活の安寧を祈る地域の人々にとって、大切なよりどころとなってきたことでしょう。

社殿はこぢんまりとしていますが、年月を経た木造の佇まいは温かみを帯び、訪れる人を迎え入れる包容力を感じさせます。その周りには緑が配され、都市部にありながら自然と調和する空間が保たれています。特筆すべきは、社殿で出会った一匹の猫の存在でした。参拝の最中に姿を現したその猫は、人に慣れているのか穏やかに過ごしており、参拝者の心をふっと和ませてくれます。神域に住まう猫の姿は、どこか神使を思わせ、境内の雰囲気をいっそう特別なものにしていました。

打越天神北野神社は、地域の生活に根ざした身近な神社であると同時に、日常の中でほっと息をつけるような空間を提供してくれる存在です。学問、繁栄、安寧を願う祈りが重なり合い、今も昔も変わらず、人々に寄り添っていることを感じさせる一社でした。