お松大権現のお参りの記録(1回目)
徳島県桑野駅

久しぶりの徳島県です。
徳島県阿南市にある神社です。
猫が好きな方は是非お詣りください。
境内には招き猫が　それはそれはたくさん置かれています。
狛犬も猫　石柱にも猫　さすり猫に　参道の石畳には猫の足跡。
裏山には猫の大仏に　猫の七福神まで。
猫の回廊があって　これでもかというほどの招き猫。
おそらくですけど　10000体以上は奉納されています。
そして何よりびっくりしたのが　本殿の招き猫を勧請できるというのです。
社殿に祀られている招き猫をお借りして家でお祀りできます。
祈願成就の折　または1ヵ年過ぎたら　社務所にて1体買い求め　2体にして元の社殿にお返しするというのがならわしです。
ここまで猫だらけなので　御祭神が猫？と思ったら大間違い。
お松さんという女性です。
伝承の館には悲しいお話の切り絵が並んでいました。

お松さんの悲しいお話を写しておきましょう。
時は天和　貞享年間(1681〜1686)　阿波国那賀郡加茂村は不作続きの年をむかえ　この村の庄屋惣兵衛は村の窮状を救うため　私有の田地五反を担保に　近在の富豪野上三左衛門よりお金を借り受けていた。
返済期限も近づき　丁度通りがかりの三左衛門にお金を返すが　通りがかり故(証文)を受け取っておらず　庄屋惣兵衛は間もなく病死する。
惣兵衛の死後　その妻(お松)は幾度となく証文を請求するが渡そうとしない。
後にお金は受け取っていないと偽られ　担保の五反地までも横領される。
思案の末　奉行所に申し出るが　お松の華麗な容姿に心を寄せ　食指を動かそうとする奉行越前。
お松は奉行の意に応じなかった為　また三左衛門からの(袖の下)を受け取っていた奉行は非理非道な裁きを下してしまった。
お松は権力におもねる悪業に死を決して抗議する。
それはことの真相を公にする(直訴)であった。
貞亨三年正月　藩侯の行列をよぎり直訴　その年の3月15日　お松は日頃寵愛の猫(三毛)に 遺恨を伝え処刑に殉ずる。
その後　三左衛門　奉行の家々に(怪猫)が現れ怪事異変が続き　両家は断絶している。
正義へのかぎりなき執念に死をも厭わず貫き散ったお松さまの悲しい生涯　その美徳を偲び今も参詣者は絶えない。
現在　お松大権現と崇められ　その社殿には千万の招き猫が奉られている。