中筋神社のお参りの記録(1回目)
奈良県近鉄奈良駅

中筋神社は、奈良県奈良市中筋町に鎮座しています。近鉄奈良線・近鉄奈良駅から徒歩わずか3分ほどと、非常にアクセスの良い場所にあり、駅周辺のにぎわいを感じながらも、ふと立ち止まって参拝できるような小さな神社です。私がこの神社に出会ったのは、銭湯に立ち寄った帰り道のこと。通りの角を曲がった先で、偶然にもその存在に気が付きました。まさに“偶然のご縁”といった感覚でした。

神社の由緒を記した案内板によると、「中筋神社」と称されるようになったのは明治12年（1879年）のこと。それ以前の詳細な経緯については記されていませんでしたが、地域の中で長く信仰を集めてきたことがうかがえます。また、昭和18年（1943年）には、奈良市春日野町にある氷室神社の境内社となったそうです。氷室神社といえば、毎年“氷の神様”に氷を奉納することで知られる古社であり、その関係から中筋神社にも特別な由来や役割があるのかもしれません。

御祭神は木花開耶姫命（このはなさくやひめのみこと）。桜の花のように美しく、また火中出産の神話を持つことから、火難除けや安産、家内安全などのご神徳で広く知られる女神です。小さな境内ながらも、そこに手を合わせる人々の想いは今も昔も変わらず、静かに息づいているようでした。

駅近くという利便性の高い立地ながら、本筋の大通りからは少し外れた場所にあるため、偶然足を止めた人や地元の方の信仰に支えられている様子が伝わってきます。敷地は決して広くはなく、社殿も簡素なつくりですが、どこかほっとする温かみがあり、長年守り継がれてきた空気が漂っていました。次に奈良を訪れた際には、ぜひまた立ち寄りたいと思わせてくれる、そんな心に残る小さな神社です。