今田鯖神社のお参りの記録(1回目)
神奈川県湘南台駅

鯖神社は神奈川県藤沢市湘南台に鎮座しています。最寄り駅は小田急江ノ島線、相鉄いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーラインが交わる湘南台駅。交通の便が非常によく、駅から徒歩約10分ほどで到着します。住宅街の一角に位置しながらも、境内に足を踏み入れると静けさが広がり、まるで時間の流れがゆるやかになるような感覚を覚えます。

神社名の「鯖（さば）」という少し珍しい響きは、源頼朝が「左馬頭」という官職を名乗っていたことによるとされています。近隣には「左馬（さば）」と読ませる神社が点在しており、それらとの区別を明確にするために、この神社は地域名の「今田」を冠して「今田鯖神社」とも称されているとのことです。由緒ある名に地域への愛着が感じられ、長く地元の人々に親しまれてきた様子が伝わってきます。

境内の由緒書によると、御祭神は源頼朝公。創建は元禄15年（1702年）で、まさに江戸時代の中期にあたります。源頼朝を祀る神社は関東各地に多く見られますが、この地でも頼朝公への敬意と信仰が厚く、地元の鎮守として崇敬を集めてきたことがうかがえます。江戸の世では、鯖神社のある藤沢周辺は街道の通り道でもあり、旅人や商人たちが道中の安全や商売繁盛を祈願して立ち寄ったとも考えられます。

この日は相鉄いずみ野線に乗り、終点の湘南台駅で下車しました。「台」と名のつく通り、周辺は高台というよりもゆるやかな起伏のある平地で、鯖神社の境内から見渡すと遠くまで住宅地が広がり、山の影はほとんど見えません。空は広く、風が通り抜ける心地よい土地です。ふと見上げると、上空を米軍機が飛来しており、この地域が今も国際的な空の通り道にあることを実感しました。

境内には、由緒書とは別に、鯖神社の歴史を年代ごとに記した紙が掲示されていました。どうやら地元史の書物を引用したもので、地域の歩みを丁寧に記録しているようでした。しかし、参拝したのが日没後だったため、文字がはっきりと読み取れなかったのが惜しまれます。機会があれば、改めて日中に訪れてしっかり拝見したいと思いました。

全体として、鯖神社は派手さこそありませんが、長い年月をかけて地域と共に歩んできた「鎮守の杜」という言葉がぴったりの神社です。境内の清々しい空気、手入れの行き届いた社殿、そして掲げられた由緒の一つひとつから、地元の方々がどれほど大切に守り伝えてきたかが伝わってきます。湘南台の穏やかな街並みに溶け込みながらも、確かな存在感を放つその姿に、地域信仰の原点のような温かさを感じました。