法蔵寺のお参りの記録(1回目)
東京都四谷三丁目駅

法蔵寺（ほうぞうじ）は、東京都新宿区にある浄土宗の寺院で、山号を「五却山」、院号を「思惟院」と称します。1591年（天正19年）、松平親良（まつだいら ちかよし）によって開基されました。

● 法蔵寺の創建
法蔵寺はもともと三河国（現在の愛知県安城市福釜町）にあった寺院で、松平親良がその寺号を江戸に移し、浄土宗の大誉永蓮和尚を招いて創建しました。当初は親良の屋敷内にありましたが、後に移転されました。

● 法蔵寺の移転と現在地
創建当時、法蔵寺は四谷の広大な敷地を有していましたが、江戸幕府の用地として収公され、一時は廃寺の危機に陥ります。しかし、開基である松平親良の三代目、松平甚三郎の尽力により、焼場跡の土地に再建され、現在の新宿区若葉の地に移転しました。

● 法蔵寺の特色と伝承
江戸時代の地誌『江戸砂子』には、法蔵寺が「弁財院」とも記されており、かつて弁財天を祀っていた可能性が指摘されています。現在ではその弁財天像は残っていませんが、寺の歴史の中で特別な信仰があったことがうかがえます。

● 法蔵寺と地域の関係
法蔵寺はその存在が地名にも影響を与えました。周辺の「法蔵寺横丁」や「法蔵寺坂」は、かつての寺の影響を受けた名称であり、江戸時代から地域の人々に親しまれてきたことがわかります。

● 法蔵寺の墓地と著名人
かつての墓地には、福釜松平家の墓がありましたが、現在は谷中天王寺に移葬されています。また、長唄の唄方として名高い吉住小三郎（初代～三代）の墓もかつて存在しましたが、こちらも麻布西福寺に移されています。