貴志嶋神社のお参りの記録(1回目)
東京都武蔵増戸駅

　詳しい創立の時期は不明ですが、室町幕府を開いた足利尊氏が母の守護を祈願して辯財天をお祀りし創建されたと伝わります。周辺の足利尊氏が創建に関わったお寺が建武年間から文和年間にかけて開山されているので、１３３０年～１３６０年の間に建立されたと考えられています。

　現在の社殿は享保五年（１７２０）に建立されました。江戸時代までは妙臺寺というお寺が管理する辯天堂だったので、寺院建築のお堂の様式で建てられています。明治の神仏分離で妙臺寺は近くの禅昌寺に合寺され、市寸島比売命（いちきしまひめのみこと）をお祀りする神社になりましたが、今でも地元では網代の辯天さまと呼ばれ親しまれています。

　鳥居をくぐると参道は始めのうちは石段ですが、舗装されていない山道になります。境内までは５分から１０分ほど上り坂を歩くことになります。

　境内から山道をさらに５分程登ると貴志嶋神社の奥ノ院の洞窟があります。中に毘沙門天さまや大黒天さまの石像が安置されています。大黒天像は文明九年（１４７７）に作成されたもので市の文化財に指定されています。

　洞窟といっても岩屋のような小規模なもので、外から手を合わせてお参りした方がいいようです。

　弁天山の山頂からは都心方面が見渡せます。かつては山の麓に温泉旅館があり、観光リフトが山頂まで延びていたようです。お参りの方も多く、昭和三十年代から四十年代のころは江ノ島のような辯才天靈場を目指していたようです。

　社殿は三十年に一度ご開帳され、次回は２０４９年のようです。車の場合は武蔵増戸駅付近のコインパーキングか、公共の駐車場に停めて３０分ほど歩くことになります。御朱印の授与などは確認できませんでした。