光円寺のお参りの記録(1回目)
東京都茗荷谷駅

光圓寺（こうえんじ）は、東京都文京区小石川に位置する浄土宗の寺院です。山号は「中臺山」、院号は「医王院」と称し、地域に根ざした歴史的な寺院として知られています。境内には約2,300坪もの広大な敷地を持ち、明照幼稚園が併設されています。

● 光圓寺の創始と行基菩薩
光圓寺の創建は、天平13年（741年）に遡ります。行基菩薩が紀州熊野から流木として運ばれた杉を使い、薬師如来像を刻んで安置したことがその始まりです。この地に寺を建立し、堂前には公孫樹（いちょう）の木を植えました。この公孫樹は後に文部大臣指定の天然記念物となるほどの大木へと成長しました。

● 中興と浄土宗への転宗
時を経て、応永年間（1394–1428年）、伝通院開山である了誉上人によって中興が行われました。その際、真言宗から浄土宗へと改宗され、本尊も行基作の薬師如来から阿弥陀如来へと変更されました。この変遷により、浄土宗寺院としての基盤が築かれました。

● 江戸時代と境内の賑わい
江戸時代には、光圓寺が広大な敷地を持つ寺院として繁栄していました。境内には六阿弥陀と称される阿弥陀如来像や、地蔵堂などが立ち並び、多くの信仰を集めていました。特に、本木薬師如来や子安観音は多くの人々の信仰を集め、江戸六阿弥陀の一つとして広く知られていました。

● 現存する文化財と名所
光圓寺には、鹿都部真顔（狂歌師）の墓が現存しています。また、行基作と伝えられる薬師如来や阿弥陀如来像も大切に保管されています。これらの文化財は、光圓寺の歴史と信仰を今に伝える貴重な遺産です。

● 戦災と復興の物語
昭和20年の東京大空襲では、本堂や堂宇が焼失するという大きな被害を受けましたが、本尊の仏体だけは奇跡的に救出されました。その後、地域住民の協力により、再び本堂が建立され、光圓寺は復興を遂げました。

● 伝説に彩られた公孫樹
かつて境内にそびえた大公孫樹は、行基が自ら植えたものと伝えられ、樹齢1,000年以上とされました。戦災で焼失したものの、その根元から若芽が伸び、現在もその生命力を伝えています。