祠(極楽水)のお参りの記録(1回目)
東京都茗荷谷駅

極楽水は、文京区小石川にある名所旧跡で、かつて宗慶寺の境内に位置していました。了誉聖冏上人が応永22年（1415年）に伝通院の前身となる庵を創建した際、龍に仏法を説いた報恩として授かった名水であると伝えられています。

● 極楽水の歴史的背景
極楽水は「吉水」とも呼ばれ、江戸時代には宗慶寺の象徴的な存在でした。『江戸名所記』によると、龍女が上人のもとに現れ、仏法の深遠な教えを求め、その返礼として湧き出た水がこの「吉水」だったとされています。後に、この清泉が「極楽水」として広く知られるようになりました。

● 明治時代の変遷
明治39年（1906年）刊行の『新撰東京名所圖會』によると、極楽水の周辺地は当時松平播磨守侯の領地となっていました。この時期には既に宗慶寺の直接の管理下ではなくなっていましたが、その名声は名所として続いていました。

● 極楽水の現代的整備
現在の極楽水は、小石川パークタワーの敷地内に整備されています。文京区教育委員会による掲示板には、歴史的経緯が詳しく説明されています。かつての湧き水は近代的な施設として再整備され、地域住民や訪問者に親しまれています。

● 小石川七福神の弁財天
極楽水には、小石川七福神の一つである弁財天が祀られています。この弁財天は学問や芸術の神として信仰を集め、訪れる人々の心を和ませる存在となっています。

● 極楽水の井戸
『新撰東京名所圖會』には、極楽水の井戸が「二重井筒にて深からず。水は清冽なり」と記されています。かつての井戸は現在見ることができませんが、その清らかさは文献を通じて伝わります。

● 名称の由来と伝承
極楽水はもともと「吉水」と呼ばれていましたが、後世にはその俗称として「極楽水」が広まりました。この名前には、龍女と了誉上人の伝説が深く関わっています。仏教的な教えと水の清らかさが結びつき、名称に込められた意味は現在も語り継がれています。