稲荷社のお参りの記録(1回目)
東京都昭島駅

稲荷社は、東京都昭島市田中町に鎮座する稲荷神社です。境内のすぐ向かいにはお寺の墓地が広がり、静かな雰囲気を漂わせています。その一方で、周囲を見渡すと、平成から令和にかけて建てられたと思われる住宅が立ち並び、比較的新しい街並みの中に神域が溶け込んでいます。新旧の景観が交錯する様子は、現代の住宅地における小さな神社のあり方を象徴しているようでもあります。

こちらのお稲荷さまの大きな特徴は、社殿をはじめ境内の設備や鳥居、玉垣に至るまで、いずれもまだ新しさが際立っている点です。木材や塗装の色合いも瑞々しく、建立されてからそれほど年月を経ていないことがうかがえます。通常、地域に根ざした稲荷社には古びた社殿や風雨にさらされた鳥居が残ることも多いのですが、この神社にはそうした「古社」の趣きはあまり感じられません。そのため、むしろ近代的な住宅街に調和する新鮮さが印象的です。

個人的な推測になりますが、この稲荷社はもともと別の場所に鎮座していたものを、開発や都市整備など何らかの事情によって現在の地に遷したのではないかとも考えられます。新しい街並みの中にありながらも、地域の人々に大切に祀られている様子からは、土地の歴史や信仰を絶やすことなく受け継ごうとする意志を感じさせます。静かな住宅地の一角にひっそりと佇むこの稲荷社は、地域に暮らす人々にとって日常的に親しめる小さな祈りの場であると同時に、新しい街と古来からの信仰とを結びつける存在でもあるといえるでしょう。