拝島天神社のお参りの記録(1回目)
東京都拝島駅

東京都昭島市拝島町に鎮座する拝島天神社。最寄り駅は西武拝島線・JR青梅線・五日市線・八高線が交差する拝島駅で、そこから徒歩でおよそ20分ほどの距離にあります。駅周辺の賑やかな商業地を抜け、新奥多摩街道を渡って住宅街へと足を運ぶと、静かな社叢の中にこの神社が現れます。

御祭神は学問の神として知られる菅原道真公であり、境内の由緒書によれば、創建年代は明確には伝わらないものの、文禄年間（16世紀末）に国立市の谷保天満宮より分霊を勧請して創建されたと記されています。谷保天満宮は関東三大天神の一つとして知られ、そこから分霊を受けて成立したこの神社もまた、地域における信仰の拠点として長きにわたり親しまれてきたことがうかがえます。

新奥多摩街道はひっきりなしに車が行き交う幹線道路ですが、本社はそこから100メートル以上奥に入り込んだ住宅地に鎮座しているため、交通音はほとんど届かず、落ち着いた環境の中で参拝することができます。境内に足を踏み入れると、まず目に入るのは天満宮らしく梅の花をかたどった意匠。賽銭箱や社殿の屋根飾りにあしらわれており、道真公と梅の深いつながりを今に伝えています。

社殿は神社の顔ともいえる建物で、特に印象的なのは、やや赤みを帯びた朱色の銅板屋根。年月を経て落ち着きを帯びつつも、陽光を受けると鮮やかに輝き、参拝者の目を引きつけます。境内にはかつての巨木が二本残されていましたが、現在は切断され、太い切り株となってその存在感を示しています。おそらく安全上の理由から伐採されたものと思われますが、幹の太さからはかなりの樹齢であったことがうかがえ、天神様とともに長い時を過ごしてきた歴史を感じさせます。

社殿の正面に掲げられた扁額には、力強く「拝島天神社」と墨痕鮮やかに記されており、参拝者を迎え入れています。境内の石灯籠は比較的新しいもので、近年整備が行われたことが分かります。全体としては大規模ではないながらも、地域に根ざし、静謐で落ち着いた雰囲気を保つ神社であり、学業成就や合格祈願に訪れる人々を今もなお見守り続けているといえるでしょう。