1300年の歴史を誇る’やおびくに伝説’
1300年前、若狭の国(現:福井県)の尼僧・八百比丘尼(やおびくに)が全国行脚のときに、当地こそ諸仏が鎮護する仏地であるとして観音菩薩像を祭祀したのが塩船観音寺のはじまりと伝わっています。八百比丘尼は十七歳で人魚の肉を誤って口にしたため、八百歳まで生きた(不老不死となった)と伝わる女性です。入定された小浜市の空印寺をはじめ、北陸・能登地方を中心に多くの伝説があります。白い椿(白玉椿)を霊木として特に好んでいたため、白玉椿姫(しろたまつばきひめ)とも呼ばれています。
現世利益のお寺
観音寺は開山以来、行基菩薩や安然僧正といった先人の大徳らをはじめ、武蔵七党の村山党の金子十郎家忠や、平将門後裔と称し青梅地方に勢力を伸ばした豪族三田氏などの多くの人間の信心と帰依を受けて、武蔵の国の霊場として脈々とその法灯絶えることなく今の姿があります。その多くの祈りを受け続けてきた御本尊の十一面千手千眼観自在菩薩は、今でも多くの人が祈願に訪れ、諸願成就の観音様として厚い信仰を受けています。檀家のない観音寺は、今生きる人が幸せであればこそ、過去に感謝し、未来を思うことができるという考え方、「現世利益(げんぜりやく)」を理念として日々祈願をしています。
花と歴史の寺
秘仏千手千眼観自在菩薩を包む本堂・厨子をはじめとして、国指定重要文化財、東京都・青梅市の有形文化財・天然記念物など、先人から受け継いできたものを多く護持するお寺です。また本尊・千手観音を守護する眷属、二十八部衆像はそのすべてが現存していることなどから大変に貴重な仏像群として注目されています。
また、つつじ・あじさい・山ゆり・はぎなど、四季の花を愛でることのできるお寺としても有名です。関東八十八ヵ所霊場の七十二番、東国花の寺百ヵ寺の東京十二番の札所でもあります。
つつじまつり・火渡り
すり鉢状の境内には約二万本のつつじが植栽されており、4月中旬から5月上旬まで、赤・白・紫・オレンジ色の色鮮やかなつつじを楽しむことが出来ます。また毎年5月3日は例大祭が行われ、つつじ園中央の道場にて柴灯大護摩供・火渡り荒行を厳修して、信徒の皆様をはじめ、ご参詣皆様の無病息災・災厄消除を仏様に祈願します。
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